さて、今回はインナーユニットの一つである多裂筋のお話です。
日常生活の中で「どのように動くか」の意識が将来のカラダのために重要!と思ってもらえると良いなと、気軽に読んでもらえるようにカラダの仕組みシリーズを始めたのに、長らく停滞してしまいました。
前回のブログが1年半前のコロナ前の頃でした…
今はコロナの影響による運動不足から、様々な問題が浮き彫りになっています。
今回のテーマの多裂筋は、運動不足に関係のある重要な筋肉群。
多裂筋は、シリーズでお話ししてきたインナーユニットを構成する筋肉群の一部。
インナーユニットは、いわゆる体幹のインナーマッスルのことで、
横隔膜、骨盤底筋、腹横筋、多裂筋が共同して腹圧をコントロールすることで
姿勢保持や腰部骨盤の安定に関わっています。
まずは多裂筋の解剖図を見てみましょう。
太くて長い脊柱起立筋の奥で、仙骨から頚椎2番目までの椎体の真ん中の棘突起を挟むように、一見、背骨の全体にわたってついている筋肉。
でもよく見ると、真ん中の棘突起から斜め下に伸びて2〜4個くらい下の椎体に分かれてついています。
多裂の「裂」は、さける、分かれる、引き裂くという意味があるので、文字どおり想像できそうですね。
もみの木のようなイメージでしょうか。
深部で脊柱に一番近い筋肉ですね。
このような細かいつき方をする筋肉なので、
脊椎の細かい動きを調整する役目があり、付着部分の脊柱の伸展、側屈、回旋の動きをコントロールしています。
大きな力ではなく、細かい調整ですね。
ですが、頸部と腰部、特に下部腰椎でかなり発達しています。
腰部の胸腰筋膜を介して、腹横筋と連結して、腰椎や骨盤をしっかりサポートする「コルセット」のような役割をしています。
よく、インナーユニットのトレーニングの時に「天然のコルセット」と、例えてお話しすると、なるほど!という感じです。
次の図は、腰の部分の横断面。
胸腰筋膜に包まれた多裂筋、そして胸腰筋膜が腹横筋につながって、
胴体をぐるりと取り囲んでいます。
多裂筋が下の図のように筋膜の風船の中でボワーと膨らみ、ピンと緊張が筋膜につながり、
腹横筋の収縮も筋膜に伝わり、骨盤から腰部にかけてジワーとコルセットが包んでくれるイメージです。
これまでシリーズの中でお話ししてきた、骨盤底筋、腹横筋、横隔膜とつなげて、後ろ側も意識してみましょう。
インナーユニット、4つも意識?たくさんありますよね。
でも、インナーユニットは共同で働くので、働きやすい環境に体をおいてあげればちゃんと働きます。
座ったまま坐骨を椅子の座面に垂直に立てて、頭頂部を上に伸ばしてリラックスします。
インナーユニットは頑張って力を入れるのではなく、意識することで十分働きます。
もちろん負荷に応じた強さが必要です。
インナーユニットは腹圧を生み出し脊柱を支えて、姿勢を保ったり、脊柱の動きをコントロールするのですが、必要に応じた強さで使えることが大切です。
まずは、多裂筋に思いを巡らせて。
ゆっくり息を吸って、ゆっくり丹田のあたりから息を吐いていくようなイメージで。
腰骨のあたりの高さで、ぐるりと優しくコルセットに包まれるような感じです。
さて、一通りインナーユニットについて触れてきたので、
ここからのカラダの仕組みシリーズは、
日常生活で気軽に取り入れられるようなトレーニングを、
身体の仕組みを取り混ぜながら紹介していきます。
もう少しテンポを上げてアップしていきますので
楽しみにしていてください!
スプリングス代表
濱口由美子