カラダの仕組みシリーズ vol.8 呼吸と骨盤底筋との重要な関係を探ります

2019.6.30

 
   
   
   
   

たかが呼吸、されど呼吸。
さ、ここまできたらとことん追求していきましょう。
と言っても、どうしたら呼吸の重要さをわかりやすく説明できるか、がこのシリーズの目的なので、重要ポイントを抑えつつ。

 

骨盤底筋について、しばらくテーマにしていきましょう。
女性に注目されている骨盤底筋ですが、男性にも全く同じです(表層の部分が違いますがまたの機械に説明を)。

呼吸の主役である横隔膜。それを補助する仕組みが胸郭にあり、協力しあってダイナミックな仕組みがあることを見てきました。

 

なぜ、だいぶはなれた骨盤底が呼吸に大いに関係があるのでしょうか?
これには呼吸と腹腔内圧との関係を説明する必要があります。

 

ピンクで囲まれた、大きな入れ物(大きな縦長のバルーンのような)を腹腔と言います。
お腹の臓器(消化器官と骨盤の臓器)がこの中にぎっしり入っていて、
下の図の青いラインが横隔膜で上部のドームを作り、
赤のラインが骨盤底筋で下部のドーム(底)、
前後は腹筋群(腹壁)と深部の背筋群、これらは胸腰筋膜で繋がってぐるりとお腹を取り囲んでいます。
全部それぞれ繋がっていて、真空状態の大きなバルーンがお腹の中にあると思ってください。

さて、息を吸った時には横隔膜が収縮して下に引っ張られます。
すると、腹腔内の臓器は押し出されてお腹が膨らみ、骨盤底筋も押し出されて下がります。
正確には腹筋群も骨盤底筋も伸びながら収縮します(腹壁についてはまた詳しく後ほど!)。

 

息を吐くときは横隔膜が弾性により上に上がり、骨盤底筋が上がり、腹壁も元に戻ろうとします。
これが自然に起こる、骨盤底筋と横隔膜の関係。
ここでしっかり覚えておきましょう。

これらが全て連携して、適切に伸び縮みすることで、腹腔内圧(腹腔内の圧力)を高め、
腰椎骨盤をしっかりとサポートすることができるのです。
これはもちろん、運動の強度によって腹圧をどれだけかけたら良いか違います。
重い荷物を持つとき、腹圧がかからずグニャっとしてたら大変!

そして、どれかが緩んで伸びっぱなしだったり、硬く収縮したまま伸びなかったりすると、うまく腹腔内圧をコントロールすることができません。

 

例えば腰が痛いとき、痛みの防御反応のため背筋が過剰に緊張して、うまく腹腔内圧をかけられない、ということもあります。

 

また、背中を丸めてお腹ぽっこり、背骨がグチャとつ潰れたままでも、うまく呼吸ができず、腹腔内圧をかけられないですね。
この姿勢では、すでに腹腔内圧が高まり、骨盤底筋が押し出されてしまっている可能性があります。
尿もれや臓器脱など、骨盤底筋の機能障害が姿勢と関係あるのも頷けますね!
これらの横隔膜、骨盤底筋、深部の腹筋(腹横筋)、深部の背筋(多裂筋)は、一緒に協力しあって、腹圧をコントロールして体幹を安定させる役割があります。

 

さて、骨盤底筋のイメージはとてもわかりにくいのですが、
今回は外から触れることのできる、指標となる骨の位置だけみていきましょう。
詳細は次回から。

ピンクで囲った丸の部分。
前の恥骨(ここでは恥骨結合)、両サイドにある坐骨(坐骨結節)。

下の図は、下から骨盤を見たところ。
仰向けに寝て、両足を横に開いたところを横から見ているのを想像してもいいですね。
すると、上に恥骨、両サイドに坐骨、下のお尻がわに尾骨(いわゆる尾てい骨、尻尾の骨)。
これらを結んだ線で囲まれたピンクのダイヤモンド型のところが骨盤底筋

 

実際には一つの筋肉ではなく、たくさんの筋肉が重なり、
筋膜などの結合組織でつながり、骨盤底筋群。

 

 

次回はもう少し構造と働きをみていきましょう。

濱口 由美子

YUMIKO HAMAGUCHI

株式会社スプリングスピラティス代表
トップインストラクター
ピラティス /ジャイロトニック/ 理学療法士