フレイルを予防して健康に過ごすために

2020.5.17

 
   
   
   
   

自粛生活もすっかり長くなりました。
子供から高齢者まで、全ての年齢層で外出の機会、運動の機会が減っていることと思います。

ようやく緊急事態宣言が解除されましたが、当分の間、外出を控え、できるだけ人との接触を避けて暮らしていかなくてはいけません。

 

スタジオも対策を取りつつ、皆様に安心てレッスンをしていただけるよう、再開の準備を進めています。

レッスンの再開を心待ちにしていると言ってくださる会員の皆さんの顔が浮かんできて、早く会いたいなと思う反面、感染のリスクを考えると、できるだけ遅いほうがいいのかなと、複雑な心境です。

 

中でも中高年のクライアント様の運動不足がとても気になっています。
自宅にこもりがちだけど散歩はしているかなとか、何か一つでもエクササイズを続けてくれているかなとか。

 

これまで要支援・要介護認定を受けていない高齢者の方は、
様々な外出の機会があり、運動や人との交流がたくさんできていました。
自治体が主催する介護予防教室や体操教室、住民が主体的に集まる高齢者サロン、ヨガなどの教室など、
そしてフィットネスクラブやスプリングスのようなトレーニングを提供するスタジオなど。

 

そして、新型コロナウイルスの感染拡大後は、ほぼ全てが活動中止となり、
急に外出の機会がなくなったこと、「通いの場」がなくなったことによる健康状態への影響が心配されています。

 

これまでの研究で社会参加がいかに高齢者の健康に重要な役割を果たすかがわかってきただけに、
感染拡大はもちろん防止しなくてはいけませんが、これまでの社会参加がほぼなくなってしまった現在の状態においては、
対策をしっかりとっていく必要あると思います。

 

そう思って厚生労働省のウェブサイトをチェックしていたら、
わかりやすく参考になる記事がありましたので紹介します。

この研究は

日本老年学的評価研究(Japan Gerontological Evaluation Study,JAGES)が蓄積してきた研究の中から、

「新型コロナウイルス感染症流行下での 高齢者の生活への示唆 :  JAGES 研究レビュー」
としてまとめられたもので、外出や交流、参加を控えることでどの程度のリスクが予想されるか、またそれらがどれだけ健康に良いのか、それを踏まえどうすれば良いかを提言しています。

 

その中でいくつか抜粋してみます。

スポーツのグループに参加し、週に 1 回以上運動している高齢者と比較した場合、グ ループに非参加で運動は週 1 回未満という高 齢者は 4 年後に要介護状態になるリスクが 1.65 倍、週 1 回以上運動していてもグループ に非参加であればリスクは 1.29 倍になること から、人と共に運動することでリスクは一層軽 減できます(図 7)

 

また、仲間と共に活動することによる健康への影響も大きく、例えばある一時点のデータを分析し た結果、スポーツ組織への週 1 回以上の参加で不参加の高齢者よりも転倒歴が約 20%低いことが示されています(図 11)。

そして、

1 人よりグループ で運動している高齢者の方 が転倒リスクは少なくなるという結果も(図 12)。

筆者は、他の要素の研究結果も合わせ、次のように提言しています。

外出や歩行、人との交流、社会参加は高齢者の転倒、高血圧、糖尿病、うつ、認知症、要介 護、死亡等のリスクを減少し、地域全体の高齢者の健康を向上するのに必要な機会といえます。 感染リスクを抑えつつ、これらの機会を増やす方法を工夫する必要があります。

 具体的には、 密集を避けて数人の少人数で外出したり、密閉空間をさけて換気をした室内や屋外で、密接し ないように人と人の距離を 2m 程度開けながら交流したり、SNS な どインターネットを使った交流であれば、感染のリスクは低く、外出や参加、交流によるメリ ットの方が大きくできると考えられます。

こちらがこの研究のウェブサイトです。
図とその説明は、この文献から抜粋したものです。

https://www.jages.net/library/covid-19/?action=common_download_main&upload_id=8717

オンラインでレッスンやSNSを使うことに、高齢の方は躊躇しがちですが、
これからは、むしろ高齢者にこそこのようなツールが必要かもしれません。
意外に簡単で楽しい、と感じてもらえるよう、今後もオンラインレッスン を進めていきたいと思いますので、ぜひ皆さんもチャレンジしてみてください!

濱口 由美子

YUMIKO HAMAGUCHI

株式会社スプリングスピラティス代表
トップインストラクター
ピラティス /ジャイロトニック/ジャイロキネシス/理学療法士