コロナの長期化による影響で、運動不足を心配されている方が多いと思います。
健康維持、肥満防止、ストレス解消、糖尿病などの疾患の予防、腰痛予防など、さまざまな目的で運動が必要なのですが、コロナ以前のように運動ができなくなってしまった方も多いと聞きます。
また、そこまで意識していなくても、外出の機会が減り、テレワークで職場に行かないから歩行や階段登り下りの機会が自然と減り、1日の活動量が減ってしまった方も多いようです。
この状況を改善するには、どうしたら良いでしょうか?
そこで今回は、本格的な運動をしなくても、日常生活の過ごし方によって、代謝をあげて生活習慣病や肥満の予防ができる!という話題です。
■ NEAT(ニート)とは?
NEATとは、非運動性活動熱産生(Non-Exercise Activity Thermogenesis)の略称です。
身体活動における運動には、
1 水泳、サッカー、ランニング、ダンスなど、目的を持っておこなわれる運動
2 家事や通勤など、日常の活動の中で生じる活動(料理、掃除、買い物、子供と遊ぶ、通勤、仕事などでの活動)
の2つがあり、2つ目の日常生活の動きをする際に発生するエネルギーのことをNEATと言います。
下の図の左側を見てみましょう。
標準的な人の1日の総エネルギー消費量のうち、60%は生命を維持する最低限の活動(安静時代謝量)、10%を食事誘発性熱産生が占めています。
残りの30%は、身体活動によるもの(NEATと運動)で、運動の割合が多いかどうかは運動強度や活動によって変動があります。
安静時代謝量は体格に依存し、食事誘発性熱産生は食事に依存するので、個人内での変動はありません。
総エネルギー消費量が多いかどうかは身体活動によって決まります。
つまり、本格的な運動をしなくても、普段の生活のエネルギー消費を増やせば、代謝をアップさせて健康増進ができるわけです。

(厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイトe-ヘルスネットより引用)
上の図の右側の円グラフは、NEATが肥満と関係しているという論文から。
Levine(2005)らは、肥満者と非肥満者を比べると、肥満者は歩行なども含めた立位による活動時間が、平均で1日約150分も少なかったと報告しています。
座位時間が肥満者の方が164分多いのですが、この時間を肥満者が立位・歩行活動で過ごすと350kcalのエネルギー消費量になる(ショートケーキ1個分)とのこと。
これまでは肥満や生活習慣病の予防改善に、運動をするようにと言われてきましたが、
近年は運動以外の生活活動の中で、座って過ごす時間を、立って過ごす、歩く時間に変えていくことが、結果としてエネルギー消費量を増やすことにつながると、変化してきました。
■NEATを高めるには?
さて、少々固い話になってしまいましたが、具体的にどうすればいいの?ということですが、
1週間に1回頑張って運動しても、それ以外の日常をダラダラと過ごすのは論外!
それより毎日の生活を見直してみて、
家の中でも、エネルギーを消費できる身体の使い方を身につけ、アクティブに過ごそう!ということになります。
例えば、
・正しい機能的な座り方を身につけると、それだけでアクティブになり、代謝も上がります。
・在宅ワークの際の、パソコンの高さを調節したり、スタンディングデスクなどを利用。
・ゴロンとソファで過ごす時間を減らし、姿勢を変えたり動きながら。
・家事動作や歯磨きなどのとき、爪先立ちをしてみたり。
・階段の上り下りも意識的に、あえて回数を多くしてみる。
・重心の上下の移動は結構エネルギーを使います。床にしゃがんだりするのもスクワットの要領で。
・腕をあげる動作も頻回に。高いところのものをとったり、高いところの拭き掃除もチャンス。

など、できることはたくさんあります。
掃除、洗濯など、家事動作を動くチャンスと思ってやるだけで、モチベーションも変わってきますよね。
スタジオのレッスンのエクササイズも、自宅でこんなふうに応用できますよ!というのを
もう一つのブログの「カラダの仕組みシリーズ」の方で、
これから紹介していきたいと思います。
お楽しみに!
スプリングス代表
Yumiko Hamaguchi