カラダの仕組みシリーズ vol.13 腰を支えて、体幹と脚をつなぐ大腰筋その1 

2021.12.31

 
   
   
   
   

これまでのカラダの仕組みシリーズは、呼吸のことと、体幹を安定させるためのベースであるインナーユニットのお話をしてきました。

まずはカラダ作りの基本ということで、知っておいてほしい体幹の仕組みと機能。コアトレーニングとか、体幹トレーニングという言葉はおなじみになりましたが、カラダのどこを意識して、カラダの中で一体何が起こっているんだろう?
そんな疑問がちょっとでもクリアーになっていたとしたら嬉しいです。

さて、そのインナーユニットのイメージができて、使い方がわかってきたら、そこからどんどん進みましょう!
カラダの軸ができたら(できたとしましょう!)、徐々にカラダの中心から近い大きな筋肉から説明していきます。

まず、体幹と脚をつなぐところから。

何気なく立ったり歩いたり階段を登ったり、働き者の脚ですが、
仰向けにゴロンと寝転んで、片足を持ち上げてみましょう(下の写真1)


すごく重くないですか?ましてや両足にチャレンジなんて、上がったもんじゃないですよね!
(下の写真2ですが…いきなり両足を上げると腰を痛めるのでやめておきましょう!)

この非常に重い足を挙げてくれるのが、主に大腰筋。
大事なポイントは、骨盤が動かない状態でゆっくり挙げて、ゆっくり降ろすことができるか。
足が床に近いほど、てこが長くなり重くなるので、あまり自信がない人や腰を痛めている人は、
膝を曲げて片足を上げたところから膝を伸ばしてから、骨盤が動かない状態で
おろせるところまでにしておきます。

写真3は初めてでも簡単にできる、基本の大腰筋のトレーニング。
両膝を立てて、片足だけ膝を曲げたたまま、ゆっくり上げておろします。
やはりが動かないように!そして膝は90度くらいをキープして。
膝を曲げることで、てこが短くなるので重くなく、やさしくなりますね!

3つの写真に共通するのは、どれも骨盤を安定させて、股関節だけを動かす(股関節の屈曲)こと。

さて、この股関節屈曲、つまり体幹に対して大腿骨を動かすことで脚を持ち上げる動き。
下の図のような大腰筋が頑張っています。

大腰筋は胸椎1番下の12番目と全ての腰椎から起こり、大腿骨内側の小転子という小さな突起に付いています。
長くて太い、大きな筋肉です。
腸骨筋も途中から合流します。

下の写真は、オンライン講座で大腰筋について説明しているところです。
立っている時、大腰筋が収縮すると、腰椎は動かないと仮定するので
大腿骨が持ち上がります。
仰向けに寝た状態でも同じです。

大腰筋は骨盤には全く付着しないで骨盤の中を走り、恥骨のところで向きを変えて(恥骨が滑車のような役割をします)、
鼠径靭帯の奥を通って大腿骨の内側に行きます。
大腰筋の走行は、大腿骨頭を抑えるようにも働くのがわかりますね。

下の図を見ると、大腰筋がいかに深部の筋肉であるかがイメージできるかと思います。
1番上では横隔膜と連結があり、
腰椎の真横を通り、すぐ後ろには腰方形筋という深部の背筋と隣り合わせ。
大腰筋のすぐ前には、体の中で一番太い動脈である腹大動脈から分かれた総腸骨動脈があり、
その前に腹腔臓器があるわけですから。

さて、ここまでで、大腰筋のイメージが少ししやすくなったかなと思います。
深部にあって(お腹側にあるようで背中に限りなく近い感じ)、
重い足を上げる時(股関節屈曲)に頑張って欲しい大きな筋肉。

頑張って欲しい!というのも、足をあげようとするとすぐに太ももの前の大腿四頭筋が張ってしまうという方が多いからです。
大腰筋を使って効率よく足を上げられるようにしましょう!

次回はもう少し大腰筋を掘り下げて、腰を支えることに大腰筋がどう関わっているかを説明します。
すると、腰椎の安定と股関節の機能がとても重要な関係にあり、
インナーユニットとの関係も見えてきます。

お楽しみに!