カラダの仕組みシリーズ vol.2 肋骨の動きはダイナミック

2017.10.21

 
   
   
   
   

今回は肋骨を含めた胸郭がどの様に動くか見てみましょう。

 

上の写真はスタジオにある骨模型ですが、もちろん動かない状態なので、
実際に動いて形が変わるというイメージが湧きにくいですよね。
もちろん解剖学の本も同じ。

 

前回、肋骨が12本あり脊柱の骨と胸骨でつながっていることを書きました。*肋骨編(1)
つまり関節がたくさんあり、一つ一つはほんのわずかですが動くので、
全体として形が変わるほどの大きな動きになるのです。

 

そして、上の写真の透明に近い部分、下の図では水色の部分は軟骨でできていて、肋軟骨と言います。
これも弾力性があり、わずかにねじ曲がりながら全体の動きに貢献しています。

 

さて、細かい一つ一つの動きはさておき、全体にざっくりイメージしてみます。

 

下の図番号の説明です。
1 胸郭上口
2 胸郭下口
3 肋骨弓 *肋骨の一番下のラインのこと。第1回の図も参照。
4 胸骨剣状突起 *胸骨の一番下 いわゆる”みぞおち”
5 胸骨下角 *胸骨剣状突起と左右の肋骨弓でできる角度

 

この図はWernerPlatzer著のHuman Anatomy Vol.1 Locomotor Systemから。
なかなか肋骨の動きがわかりやすいなと思いました。

 

上下の図を見比べてみてください。

 

① 最大に息を吐いた時の肋骨の位置

 

② 最大に息を吸った時の肋骨の位置

息を吸うときは、
肋骨は横方向に広がり(前面の図で5の胸骨下角が広がっていることからもわかりますね)
前後方向にも広がり(側面の図で1では斜め下に向いている肋骨が水平近くになり、4胸骨剣状突起が前方に上がる)
上下方向にも広がり(背骨がそのまま位置が変わらないので、赤のポイント(第3と4の肋軟骨の間)が上に移動)
3次元に広がるということですね!

 

最大に息を吐くときはその逆。

 

実際に左右の肋骨の下の方に手を当てるか、両手で自分自身をハグしてみましょう。
大きく息を吸うと広がってきますね。

 

この様に形が変わるほど最大呼吸で動いているんです。
深い呼吸が大切なのがわかりますね!

 

肺活量を左右するのも胸郭全体の関節の動き。
加齢によって軟骨が骨化していくのと関節の柔軟性が低下するので、肺活量も徐々に減っていきますが、
その動きを生み出すのは筋肉。

 

呼吸に関係した筋肉を鍛えていくことが、肺活量を増やし、生き生きと過ごすために必要です。
もともとたくさんの関節があり、呼吸に効率的に作られた構造!
しっかり恩恵を受けるためにも、呼吸についてもっと理解して、エクササイズにつなげていきましょう!

 

さて、次回は呼吸に関係した筋肉を少しずつ解説します。
お楽しみに!

濱口 由美子

YUMIKO HAMAGUCHI

株式会社スプリングスピラティス代表
トップインストラクター
ピラティス /ジャイロトニック/ 理学療法士