カラダの仕組みシリーズ vol.4 呼吸の主役、横隔膜

2018.3.07

 
   
   
   
   

さて、呼吸に関する仕組みを連続していきますが、肋骨に続いて今回のテーマは「横隔膜」。
横隔膜は腹筋などと共に呼吸をコントロールし、姿勢を保つための筋肉群の大切な構成要素。

スポーツをする時、歌を歌う、重いものを持ち上げるなど、色々な活動で呼吸の強度をうまく調節することが必要ですよね。

また、笑ったり、あくびや、咳、くしゃみなどの時にも自然に呼吸を調節しているし、さらに痰の核出には強制的に強く息を吐くなど、生命の維持にも関係しています。

そして、ピラティス、ジャイロトニック、ヨガ、その他にも呼吸がとても重要な要素になっているトレーニングは多いので、呼吸の仕組みを理解することで、より効果的な動きにつながること、間違いなしです!

さあ、呼吸についてもっと知りたくないですか?

そのためにはまず、呼吸の主役である「横隔膜」の謎を探っていきましょう!

横隔膜は、外から見えないけど、膜と書いていながら、「筋肉」と「腱」でできています。
ドーム状の分厚い筋腱性組織であり、胸腔と腹腔を分離しています。

 

上の図は、ざっくりですが、

左側は息を吸うとき。横隔膜が下がり、肺の中に空気が入ってきて

右側は息を吐くとき。横隔膜が上がり、肺の空気は外に押し出されるのがわかりますね。

横隔膜は息を吸うときに収縮する筋肉。前回に出てきた肋間筋その他多くの筋肉がその作用を助けます。

では息を吐くときは?横隔膜が弛緩して上方に移動するのと肺の弾性により自然に肺の中の空気は外に押し出されますが、それを助けるのは腹筋群、肋間筋、やはりたくさんの筋肉の協同作用が必要。

 

さて、横隔膜ってどういう筋肉なのか、下の図を見てみましょう。

オレンジ色の筋肉っぽいのが横隔膜。
横隔膜のすぐ右下に肝臓があるため、右のドームが左よりも高くなっています。

臓器との関係もまた突っ込んでいきますが。

 

ざっくりとその外観は、パラシュートみたいに上の方がドームになって、下の方に束ねられるように集まっています。

付着する部分は大まかに3箇所に分けられます。

1 下6本の肋骨

2 胸骨剣状突起の後ろ(真ん中のネクタイのような形の骨)

3下の方では腱のようになり右脚と左脚として、第1〜3腰椎椎体

そしてもう一つ大事なポイントは、ドームの天井部分の白いところ、腱中心。

伸び縮みしない硬い腱様の組織があることで、収縮時に安定させています。

 

下の図は縦に切った断面図。

腰椎についているのがわかりますね。

息を吸う時の横隔膜の動きを、下の図を見ながら説明します。

まず横隔膜の収縮によってドームが下がり、平坦になる。

これにより胸腔は縦方向に容積が増える。

次に横隔膜が下がると腹部からの抵抗(腹部臓器の圧縮抵抗、腹筋群の抵抗)を受け、

ドームの位置が固定されると、

横隔膜の収縮は持続しているので、肋骨部分の繊維の収縮により下方の肋骨が持ち上げられる。

すると、肋骨が横前後方向に広がり、ますます胸腔の容積が増える。

下の図では、ピンクの部分が腹腔。

息を吸う時にお腹が膨らむのは横隔膜が下がるからなんですね。

そして息を吐く時には腹筋群、特に体幹を安定させる作用の腹横筋が横隔膜と連動して働きます。

横隔膜の動きは外から見えないけど、呼吸に伴い、今下がってる、上がってると考えると楽しいかも。

 

個人差はありますが、横隔膜のドームの天井の位置は、安静時吸気で1,5cm、最大吸気で6~10cmさがるといわれています。

次回はもう少し、呼吸の仕組みに迫っていきます。

濱口 由美子

YUMIKO HAMAGUCHI

株式会社スプリングスピラティス代表
トップインストラクター
ピラティス /ジャイロトニック/ 理学療法士