水泳に対する熱い思いが形に!Asahi Seto Swimming Festival「しなやかさの追求」

2019.10.20

 
   
   
   
   

各地に痛々しい爪痕を残した台風19号からちょうど2週間。
被災された多くの方々に、一刻も早く日常が戻りますようにと祈るばかりです。

 

その台風の過ぎた翌日の日曜日に、愛知県の尾張旭市でおこなわれたAsahi Seto Swimming Festival2019 。「しなやかさの追求」というタイトルで、愛知の水泳界を盛り上げるべく、ジュニア水泳選手にもっともっと水泳の楽しさとレベルアップを!との熱い思いが形になった講演会でした。

 

そこでは、水泳界では有名な3人の講師の先生方の講演がまずあり、
私はこの後の「ドルフィンキック座談会」でピラティスインストラクターからの視点でドルフィンキックを紐解くという内容で、30分ほどお話をさせていただきました。
競泳選手のコンディショニングに携わるようになった関係で、水泳関連こちらの会の主催者の方から声をかけていただき、ドルフィンキックのスキルそのものは未知の世界でしたが、私自身も水泳にもっともっと貢献できればと思っていたので、とても良い機会でした。

 

まず、講師の先生方の紹介をぜひ!なぜならこんなハイレベルな講師の組み合わせは、貴重な機会なので。

 

最初の柴崎真木氏「しなやかな筋肉をつくる食事」
アスリート専門の管理栄養士として、現在はフリーランスとして競泳などの選手やチームのサポートを行い、海外合宿や国際大会に帯同してトップアスリートをサポートしています。
スイミングマガジンで水泳のための食事を連載されていています。

しなやかな筋肉のためにはどんな食事が良いかを、科学的裏付けから、だけどとてもわかりやすく聞かせていただきました。睡眠もアスリートにとても大事な要素ですが、良い睡眠のためにどのような朝食をとったら良いかなど、明日からでも実践できそうな内容でした。

 

小泉圭介氏「水泳に必要な体幹と下半身の連動性〜しなやかな体幹の運動〜」
理学療法士、JAPO-AT、障がい者スポーツトレーナー、日本水泳連盟医事委員。北島康介氏の五輪2連覇を支えてきたトレーナーとしても有名で、最近ではリオオリンピックのコンディショニングコーチとして活躍され、多くのセミナーや書籍や雑誌の連載などで知っている方は多いと思います。私も競泳選手のコンディショニングにあたって、小泉先生の考え方を参考に進めています。

水泳に必要な、抵抗をいかに減らして推進力を増やし、効率的な体の使い方をするために。体幹の強化は必要ですが、固定してしまうのではなく、細かい筋肉で滑らかに動かすトレーニング、そして上半身下半身と連動することが大切だということを、トレーニング例を挙げて分かりやすく教えていただきました。

 

そして金子雅紀氏!「速くてしなやかな水中ドルフィンキックを打つためには?〜選手と科学の視点から〜」
金子選手はリオオリンピックに日本代表として200M背泳ぎで11位。東京オリンピックでの活躍も期待されています!筑波大学大学院で水泳競技コーチング論研究室に所属。
現役選手がここまでドルフィンキックを追求して科学的に分析していくという過程は、聞いていてとても興味深く、すごいなと思いました。動きを細かく分解し、様々な工夫を重ねたトレーニング、その結果速くてしなやかな、つまり効率的なドルフィンキックによって確実にタイムを縮めていくことができたと、とても印象的な講演でした。
金子選手の自身の感覚と結果と科学が結びついて、さらに将来の日本選手の躍進に繋がっていくことと思います。

金子選手はボディウエーブの動きを参考にドルフィンキックのトレーニングの紹介を自身のインスタにも挙げています。興味のある方はぜひ探してみてください!

 

そして講演のあとは、ボディウエーブをダンサーの立場から、また全身の連動性のトレーニングとしてピラティスインストラクターの立場らかそれぞれお話ししたあと、ドルフィンキック座談会です。

 

Taka Wrappin Ichikawa氏、様々なジャンルのダンスを習得し、インストラクターとしての経験もあり、現在はフリーダンサーとして活躍しながら自身のスタイル確立に向けて身体を研究中。
ダンサーの立場から、ボディウエーブをキーワードにドルフィンキックの要素を解明していこうというものです。
ボディウエーブの、独特の滑らかな動きは一体どうやっているんだろう。ドルフィンキックを考える前からずっと疑問でしたし、私にはできないなと思っていたけど。ぐにゃぐにゃではなく、固定と背骨、関節一つ一つの動きが順番にできる、柔らかい動き、、、やはり安定があるから隣の関節の動きができるんですね。

こうして一つ一つ順番に、丁寧に教えてもらうと、できそうな気がしました。これこそ、ドルフィンの動きと同じですね。しなやかです!

上の写真は指導のデモンストレーションのために会場に声かけしたら、自ら手を上げて参加してくれた小学生の男の子。そしてサービス精神旺盛な金子選手がサプライズ登場で見事なウェーブを披露してくれました。

 

そして最後に私はピラティスのコンセプトを基にドルフィンキックのトレーニングについてお話しさせていただきました。

まずピラティスそのものを知らない方がほとんどだったので、マシンを使ったピラティスのエクササイズをいくつか動画で紹介しました。上の写真はその中のひとつ。
マシンの方が、どこを固定して、どこを動かしているかがわかりやすいため。例えば腕とみぞおちから上の部分を固定して、みぞおちから順に背骨を動かす、あるいはその逆。これはドルフィンキックに近いですね。あるいは腰椎は動かさずに胸椎を動かす。

胸椎の部分は肋骨が囲んでいて意識しにくい部分。体幹のインナーマッスル(インナーユニット)を安定させて胸椎の可動性を高めることで、ドルフィンキックにまず必要なストリームラインをいかに綺麗に作るか。背骨のすぐ横にある小さな筋肉を、コントロールしながら無意識に使えるようになるまで、地味ですが繰り返し繰り返しトレーニングすることが必要です。

無意識に使えるためには、いざ泳ぐときに使おうと思っても急にできることではないので、いかに日常の中に落とし込み、普段の動きの中で意識できるかがポイントです。
ここでは、胸椎伸展の可動性を導くコツを、椅子に座っても、立っていてもできるエクササイズとして実際に皆さんに実践してもらいました。

 

座談会では、それぞれの視点からドルフィンキックを解明していこうとの試みで、共通するところに注目しながらそれぞれがマニアックに追求していて、全てが繋がっていくという、とても中身の濃い、有意義なトークを参加者の皆さんに提供できたのではないかと思います。

 

本当にたくさんの人の水泳に対する情熱を感じられたイベントでした。若いスタッフの皆さんが、一生懸命サポートしてくださり、和気あいあいとした雰囲気で、楽しく参加させていただきました。

 

一番上の集合写真は、最前列の向かって右から
小泉圭介氏、柴崎真木氏、金子雅紀氏、愛知県水泳連盟会長の田中氏、私、Taka Wrappin Ichikawa氏、そしてスタッフの皆さん。

講師の先生方、スタッフの皆さん、台風翌日のまだ不安定な中来てくださった参加者の皆様、本当にありがとうございました!

濱口 由美子

YUMIKO HAMAGUCHI

株式会社スプリングスピラティス代表
トップインストラクター
ピラティス /ジャイロトニック/ 理学療法士