「産後の腹直筋離開のためのアプローチ」報告

2018.6.27

 
   
   
   
   

先週の土曜日6月23日に開催されたインストラクター向けワークショップの報告です。
前回の「産後のケアとしてのピラティスアプローチ基礎編」に参加された方を対象に、
産後に起こる様々な問題の一つ、腹直筋離開について。

ウィメンズヘルスの分野で活躍中の理学療法士の猿田奈央さんにも講師をお願いして、
腹直筋離開の理解(聞くだけだと発音が同じでわかりにくいですね!)を深め、
インストラクターとしてどのように産後のクライアントさんにアプローチしていくかを追求する内容でした。
参加者は14名、資格は理学療法士、医師、インストラクター(ピラティスおよびジャイロトニック)。
出産経験のある方が半数近かったので、実際に離開している腹部の状態を触診でき、
エクササイズのしかたによる違いを実感できたようです。

講師の猿田奈央さんは代官山にあるDr. KAKUKO スポーツクリニックの理学療法士で、ご自身もコンディショニングルームSelinaを主催。
奈央さんは昨年のカナダのDiane Lee先生のISM(Integrated System Model)のコースで一緒に勉強した仲間で、日本で開催されるDiane Leeのコースにも通訳として関わったりされています。実際にクリニックでも腹直筋離開のケースを担当することが多くなっているということで、腹直筋離開についての正確な知識をインストラクター向けにわかりやすく紹介していきたいという私の趣旨に賛同してくださり、講師を引き受けてくれました。

まず、腹直筋離開とはどよのうな状態なのかを、腹壁の解剖学的構造をみていき、
なぜ出産によって生じるのか、産後の腹直筋離開の何が機能的に問題なのか、を理解します。
その後、実技としてお互いの腹壁の評価、腹直筋離開の状態を評価します。

後半は私Yumikoが実際のエクササイズを担当。
産後すぐにCurl Upのエクササイズがなぜ禁忌なのかということだけでなく、
どのように段階的に腹壁のケアをしながら機能を回復させてていくかが大切です。
前回の骨盤底筋の構造と機能で学んだことを結びつけ、
まず骨盤底筋群と深部腹筋群の共同収縮、そこから徐々に段階を追ってエクササイズの強度を高める、というコンセプトを
実際に動きながら実感してもらいました。

このような知識があることで、産後のクライアントさんの腹壁の機能回復をより正しい方向に導き、ピラティスのエクササイズをより効果的に発展させることができるのではないかと思います。
参加者の皆様からも、「より細かい見方ができ、役に立った」「産後のクライアントを担当するのに自信ができた」「実際に触診しながら効果を確かめられてわかりやすい」などの感想をいただきました。
今後は、そのほかの産後の問題、他の疾患をテーマにするなど、色々展開を考えています。
インストラクター向けワークショップのご案内は、今までの開催履歴も含め、ウェブサイトに随時ご案内していく予定です。

濱口 由美子

YUMIKO HAMAGUCHI

株式会社スプリングスピラティス代表
トップインストラクター
ピラティス /ジャイロトニック/ 理学療法士