カラダの仕組みシリーズ vol.10 骨盤底筋群と日常姿勢との関係

2020.1.27

 
   
   
   
   

さて、今回は日常の姿勢が骨盤底筋にどのような影響を与えているかというテーマです。
結論はズバリ、背中が丸まったぽっこりお腹の姿勢は骨盤底筋によくないぞ!ということになります。

 

で、その理由と、じゃあどうすればいいのか、考えていきましょう。
前々回でざっくりと骨盤底筋と腹圧の関係を説明してきました(vol8参照
その前の呼吸に関連した内容の横隔膜(vol4参照)、深部の腹筋である腹横筋(vol6参照)、そしてまだこの後に出てくる深部の背筋群の多裂筋。

 

背骨、骨盤、そしてこれらの筋肉、それを繋ぐ筋膜などの組織でできたお腹の空洞を腹腔と言います。

通常の日常の立位や座位姿勢では上の方から重力の影響があり、
体幹上部や臓器の重みがどっしりとあるわけですが、
これらの筋肉群(横隔膜、腹横筋、多裂筋、骨盤底筋がまとまってインナーユニットという)が、
適度に働いて適切な腹圧を作っていることで背骨をサポートして体幹が安定するのです。

 

腹圧の姿勢による影響はというと、
仰向けに寝た状態では一番重力の影響を受けにくく、
さらに座位、立位の順で腹圧が高まります。
また重いものを持つ時、咳やくしゃみでは一気に腹圧が高まります。

 

下の図の左右の腹腔の大きさを見てみましょう。
左が安静時の腹腔、適度な腹圧でコントロールされている状態と考えて下さい。
それに対し右側は腹腔が小さくなっていますね。腹圧が高まった状態です。

強い圧が腹壁、背筋、骨盤底筋にかかります。
横隔膜は上部の臓器によって固定されるので、圧は腹壁か骨盤底筋の、より弱いところを押し出すように働きます。

これがもし、産後の骨盤底筋の働きが弱っている場合、下に押し出され尿もれの原因になります。

そこで、姿勢がどのように腹圧に影響しているかみていきます。。
左は猫背で骨盤が後ろに倒れた姿勢。Slump姿勢とも言います。
お腹がポッコリと出て、肋骨と骨盤の距離が短くなり、ウエストが潰れている状態。
腹圧が高まり、骨盤底への負荷が高くなっている状態です。

これに対し右は脊柱ニュートラル。
腹腔が潰れないで伸びている状態なので、骨盤底筋への負担が少ない状態。

骨盤底筋が一番働きやすく、インナーユニットが適切に働き、
体幹が安定した状態です。

 

日常的に左のような姿勢を続けていると、骨盤底筋への負担が続き、
尿もれ、臓器脱などの骨盤底のトラブルに繋がる可能性が大きいのです。
椅子に座った時の姿勢、心当たりありませんか?
またはソファで長い時間こんな姿勢でいたり…

産後の、赤ちゃんを抱っこする時の姿勢も要注意です。
真ん中はお腰を突き出して赤ちゃんを載せてしまう姿勢。
そして右は、横にねじれてどちらかの腰の上に載せているので、骨盤のねじれにも繋がり、
ますます骨盤底筋への負担となります。

ニュートラル姿勢が正しく取れないと、骨盤底筋の働きがうまくできないため、
適切な腹圧のコントロールができなくなります。

尿もれ、臓器脱などの骨盤底機能障害と腰部疾患や肩こりなどの整形疾患と、
関連があるのもわかりますね!
姿勢の習慣を見直すことがとても大切ですね。

 

 

濱口 由美子

YUMIKO HAMAGUCHI

株式会社スプリングスピラティス代表
トップインストラクター
ピラティス /ジャイロトニック/ジャイロキネシス/理学療法士