カラダの仕組みシリーズ vol.9 骨盤底筋群の仕組みに迫る!

2019.9.29

 
   
   
   
   

呼吸のテーマでずっと続いています。
骨盤底、呼吸に関する一番ボトムの部分について迫っていきましょう。
前回では、腹腔内圧との関係を見ると、骨盤底筋の機能がとても大切なことがわかりました、ね!

初めて解剖学を勉強した時には、まだ骨盤底の部分に注目をする考えもなかったですし、理学療法士として働いて出産も経験して随分(本当に随分)経った頃、初めてコアコントロールの概念を勉強し、骨盤底筋とは?を知った時は、衝撃的でした。

 

今では一般の方も骨盤底筋という言葉を知っている方がほとんどですが、わかりにくい場所にあり触って確かめることが難しいためか、実際に使えているかどうかわからない、という声をよく聞きます。実際に女性でうまく収縮できているのは25%くらいではないかとの報告もあるようです。

それでは、ざっくり構造をみていきましょう。
骨盤底の構造はとても複雑で、骨盤内の臓器と骨盤底筋が筋膜や靭帯を介して繋がり、お互いにテンションをかけて支え合っているのでとても面白いのですが、専門的になりすぎるのでできるだけ簡単に。

 

骨盤底筋は3層に別れていて、
深層のいわゆる肛門挙筋 の筋群
表層は会陰部の筋肉で2層に別れています。

このうち、深層の筋群が、骨盤内の臓器のサポートと排尿排便のコントロールだけではなく、深部の腹筋群(腹横筋)、横隔膜などど一緒に姿勢の保持やコアコントロールと関係しています。

下の図は、左は骨盤を立てて真ん中で割った時の断面図。表層の筋群が一番下で薄く蓋をしているような構造に対し、深層はハンモックのように骨盤内で臓器を支えています。
右の図ではサラダボウルのような容器の上に膀胱、直腸、子宮などの臓器があり、それらを支えていると思ってください。

そして、下の図は真上から深層の筋肉だけを見たところ。
それぞれ名前がついていて、3つの筋肉が骨盤の底を覆っています。図では2次元的なので一見べたっと張り付いて見分けがつきにくいですが、立体的には3つの筋肉は働きがそれぞれ違います。

上が仙骨、下が恥骨です。

真ん中の白い丸い穴の部分が肛門です。
それぞれ、付着する場所の名前がついて、
恥骨直腸筋は、恥骨からぐるっと直腸(つまり肛門の部分)をぐるっと取り囲むU字型の筋肉。
腸骨尾骨筋は尾骨から横に広がって筋膜を介して腸骨につながります。
恥骨尾骨筋は文字通り、恥骨と尾骨をつなげています。下の図では人という文字のように見えますね。

なので、骨盤底筋のエクササイズをするときに、「尾骨を恥骨に近づけるように」、というキューイングは、この筋肉の収縮をイメージしています

 

骨盤底筋の深層の部分のイメージ、少しできましたか?
この部分は姿勢を保持するための抗重力筋でもあります。
骨盤を立ててニュートラルの姿勢を取る際に、コアの筋群と共同で働くので、骨盤底筋のトレーニングのためにはいかに全身の体の使い方を意識しながらおこなうと効果的かがわかります。

前回の骨盤底筋と腹圧の関係の記事と合わせ、骨盤底筋の役割と構造について、少しでもつながっていただけたら良いなと思います。

また次回をお楽しみに!

濱口 由美子

YUMIKO HAMAGUCHI

株式会社スプリングスピラティス代表
トップインストラクター
ピラティス /ジャイロトニック/ 理学療法士