カラダの仕組みシリーズ vol.5 ポンプハンドルの動きと呼吸

2018.6.13

 
   
   
   
   

呼吸シリーズの続きで、今まで胸郭全体と、肋骨の構造、そして横隔膜について見てきました。
肺への空気の出し入れを、肋骨でできている胸郭と横隔膜がおこなっているわけですが、
必要な時に、必要なだけの空気を出し入れできるよう、調節する必要があります。

 

前回は横隔膜についてちょっと詳しく解説しました。
横隔膜が収縮して下に下がるので、肺の容積(胸腔)が上下方向に広がるんでしたね。

 

さて、肋骨の動きはどうでしょうか?

 

まっすぐの座位、あるいは立位の姿勢で、「大きく息を吸って〜」
そんな時
なんとなく、横にも、前後にも風船のように立体的に広がっている感じがしませんか?

 

それではまず、肋骨一本だけを、どうなっているか見て見ます。
下の図は、左右の同じ高さのペアの肋骨が、前方では胸骨で繋がって、
後ろでは一つの椎骨と繋がっているのを表します。
真上から見たところです。
ぐるりとリングのように繋がっています。
さて、この肋骨と椎骨でできた関節(下の図の情報の赤丸部分)が左右それぞれ2箇所あり、
そこを軸にして肋骨が動く!
というのがポイント。

 

 

この関節部分でできる運動軸の方向が上位肋骨と下位肋骨で違うため、
肋骨の動きが上の方と下の方で違いができ、より立体的になります。

 

具体的には、下の図で
まず上位肋骨(上6本)を見ると、関節部分(青い丸)を運動軸(青い軸)にして肋骨が動くのですが、
角度がより身体を左右に横切る面(前額面)に近いので、肋骨が上方向に動く。
すると下の図にあるように胸骨も上方に動き、ポンプのハンドルのような動きをします。

 

それに対して
下位肋骨(下6本)は、関節部分(赤い丸)を運動軸(赤い軸)にして肋骨が動きます。
角度がより身体を前後に横切る面(矢状面)に近いので、肋骨が側方に上がるように動く。
下の方の肋骨はサイドが一番下に下がった形なので、
バケツのハンドルがぶら下がった状態から、息を吸うと肋骨がハンドルを持ち上げるような動きになります。

上位肋骨の動きをPump Handle Movement
下位肋骨の動きをBucket Handle Movementと言います。

様々な要素が組み合わさって、肺の容積を効率的に最大限に引き出すようになっているんですね。

 

さあ、ではでは胸骨に手を当てて、大きく息を吸って見たり、
肋骨の下の方に両手を当てて大きく息を吸って見ましょう。
肋骨の中の風船が下にも、前後にも、横にも大きくふくらむようなイメージで!

濱口 由美子

YUMIKO HAMAGUCHI

株式会社スプリングスピラティス代表
トップインストラクター
ピラティス /ジャイロトニック/ 理学療法士